
2008年冬号
    
  やってみよう!冬の実験「渦がつくるふしぎな模様」
    
  久松 洋二
    
   今回は、寒ーい冬にまつわる実験を紹介します。キレイで面白い形の渦模様2つの実験です。
 
  ベナール対流
 
  カルマン渦
 
 
  
    | 用意するもの | 
  
    | はし、ふで、銀色の絵の具、水、コップ、洗濯のり(PVAのり)、ステンレスのボウル、大きめの容器(バットやタッパーウェア) 
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★カルマン渦☆
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        - コップに水を入れて銀色の絵の具を溶かしてから、洗濯のりを加えます。分量は、のり:絵の具入りの水=1:4とします(コップ1杯ののりに対し、絵の具入りの水が4杯)。筆でよく混ぜて使います。時間が経つと、銀色の絵の具が沈むので、実験する前にふででよく混ぜて使います。 
 
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        - バットやタッパーなど大きめの容器に、作った溶液を深さ1センチから1.5センチほど入れます。はしを水に立てて、すーっと動かしてみましょう。はしの後からキレイな2列の渦模様が生まれます。はしを竹串や鉛筆に変えたり、動かす速さを変えたりすると、渦の大きさや間隔が変わります。のりの量もいろいろ変えて実験しましょう(上写真)。
 
 
★ベナール対流☆
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        - 用意したステンレスのボウルに、作った溶液を深さ1センチから1.5センチほど入れます。
 
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        - ボウルの底に手を当てて、30秒から1分くらい待ちます。水がところどころわき上がって、模様が生まれます。 
 
 
  
    なぜだろう!?
 できた2列の渦はカルマン渦といって、風の強い日、電線やベランダなどの欄干が鳴らすブーン、ブーンという奇妙な音の正体です。
   ベナール対流は、暖かいお味噌汁の模様などでも見られる渦です(上写真)。暖かい水が下からわき上がり、広がって沈んでいくことで、かたまり状の模様ができます。その模様の中央からわき上がる様子が左の実験で観察できます。模様の周囲の暗い部分が沈んでいる場所です。ステンレスのボウルを使うと、体温でも対流を起こすことができるのです。のりの量を変えると、模様の大きさや対流が始まる時間が変わります。
    
(学芸課 科学技術研究科 主任学芸員)