特集
平成13年度企画展 「人体」

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 多くの人が自分の身体、それにまつわる話題には興味をもっています。しかし、私たちは自分の身体についてどの程度知っているかというと、よく知っているようで、実は断片的であったり偏った知識であったりと、意外に知らないのが現状です。特に、身体の各器官の仕組みや成り立ちについては、医療や医学に接する機会が限られていることもあり、ほとんど理解されていないのではないでしょうか。
 また、医療の現場においては、医師から患者へ十分な説明を行い、理解された上で治療する"インフォームド・コンセント"が、よりよき治療・治癒のため医師・患者双方にとって重要にとなってきています。ここでも、私たちはまず自分自身の身体に対して正しい知識をもつことが必要となってきています。


 こうしたことから、私たちは、今回、医学に関する社会教育の観点から、「人体」という大変興味深く、奥深いテーマに取り組むこととしました。
 人体の構造や機能は複雑です。科学博物館として、これをわかりやすく理解していただくにはどうすればいいのか。
 人体の模型や映像などによる情報はもちろん必要ですが、やはり、百聞は一見にしかず、ということでプラスティネーション標本(注1)という人体標本を展示することとしました。この標本からは、各器官独特の大きさや形、質感、また、血管や神経がどのように張り巡らされているかなどが実感でき、人体のより深い理解が可能となります。
 これにより、展示を見ていただいた方はきっと、人体構造の精巧さ、巧妙さ、不思議、生命の素晴らしさを体感していただけるのではないでしょうか。


注1)1977年にドイツのハイデルベルグ大学で開発。原理は、解剖標本に含まれている水分を、すっかりプラスティックに置き換えてしまうというもの。解剖標本を液体中ではなく空気中に保存することを可能にした。その処理技術により、現実感、生々しさが和らげられている。

バーチャルフォト
〈バーチャルフォト ライフサイエンス〉
筋肉に含まれるたんぱく質の一種、
アクチンの構造を立体的に見ることができます。
バーチャルフォト
〈バーチャルフォト 心臓と管〉
心臓と血管が飛び出して見えます。
血管は太いものから細いものまで様々です。
染色体
〈染色体模型〉
約10万倍に拡大した染色体の模型
サーモグラフィー
〈サーモグラフィー〉
体の温度差をカラーで見ることができます。


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